−柏崎の朝−

　柏崎のグリーンホテルをチェックアウトしたのは午前8時頃だった。昨夜は早めに眠ったため、体調は良い。ホテルから出ると、まぶしいほどの朝日があった。空には一点の雲もない。今日は気持ちの良いドライブができそうである。
　ぼくはビートに荷物を積み込み、屋根を開けた。朝の済んだ空気を胸いっぱいに吸い込み、ビートのエンジンをかけた。今日は日本海沿いの国道8号を秋田までひたすら走るつもりだった。しかし昨日は温泉に入りそびれている。途中どこかよい温泉があったら寄っていこう。
　空が青い。こんなにも青い空を見るのはひさしぶりだ。海岸沿いを走っていると穏やかな潮風が春を運んでくる。昨日の雪景色が幻のように感じる。ぼくは北陸や東北はまだ寒いだろうと思って、ダウンジャケットを持ってきたが、そんなものは必要なさそうだ。季節は完全に春だ。

- 春風を感じながら-
オープンクルージング
 

 - 五十沢温泉 -
露天風呂に入ることはできなかった

−五十沢温泉−

　柏崎市のコンビニで買った「自由人」という雑誌で「いい湯」という特集があった。その中に新潟県・五十沢温泉が紹介されていた。泳げるほど広い露天風呂があるらしい。ぼくは秋田に行く前に五十沢温泉に寄って行こうと思い、柏崎から国道1７号を使い六日町を目指す。景色は日本海を離れるにつれて、また雪景色が多くなる。しかし風は暖かい。
　「五十沢温泉・ゆもとかん」は田んぼの中にあった。カーナビの地図には載っていなかった。なんでも農業用水の井戸を掘ったら温泉に当たってしまったということだ。
　ぼくはゆもとかんに入り、入泉料を支払った。他に客はいないようだ。
「今、露天風呂の方が掃除中で入れません」
　受け付けのおばちゃんがそう言った。ぼくは泳げるほど広い露天風呂を楽しみにしていたのに。
「掃除はいつ終わるのですか」と聞くと、夕方くらいには終わります、という答えが返ってきた。昨日の地獄谷温泉もそうだが、今回の旅は温泉についていない。
　ぼくは内湯だけに浸かった。温泉はやや熱めだった。露天風呂に入れなかったのは残念だ。またいつか来よう。

-青い空 -
空が青いと心も晴れる

−秋田・幸楽苑健康センター−

　右手に駒ヶ岳を見ながら国道17号を走る。青い空と雪景色が融合する田舎道を春風を浴びながらドライブする。オープンカーで良かったと思う瞬間である。とても気持ちの良いドライブとなった。
　国道17号から長岡市あたりで再び国道8号に戻る。後はひたすら秋田を目指すのみである。新潟市を過ぎる頃、国道8号から国道7号に変わり、道は日本海沿いを走る。今度は海の青さと空の青さが春のハーモニィを奏でる。途中パチンコ屋で休憩を取ったりしながら、ようやく秋田市に到着した。午後7時すぎだった。今日は秋田市にある健康ランド・幸楽苑健康センターで休むことにした。
　幸楽苑健康センターは設備的にはあまり充実しているとは思えなかった。まず露天風呂がない。これまでいろんな健康ランドに行ったが、露天風呂がない健康ランドは珍しい。そして、仮眠施設がない。ロビーの椅子に毛布をかぶって眠っている人がいた。さすがにぼくはこれでは眠れない。それでカプセルホテルで眠ることにした。深夜料金込みで3600円だった。
　サウナで汗を流し、お風呂で旅の疲れを取り、ビールで心地よく酔い、ぼくはカプセルホテルでテレビを見ているうちにいつの間にか眠っていた。