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20030404
鹿半島(2003.4.4)

−男鹿市へ−


 初めて男鹿半島を訪れたのは大学2年の夏だったと思う。もう10年以上前のことになる。それはぼくにとって初めてのロングドライブだった。と言ってもぼくはその時、免許を持っていなかった。友人Kや友人S、そして友人Eが一緒だった。運転は大部分、男鹿半島出身の友人Kがしていたと思う。
 夏の太陽がまぶしかった。夏の海もまぶしかった。そして何よりもぼくらにはまぶしいほどの若さがあった。あの夏の思い出は、何もかも宝石のように輝いている。しかしその輝きも年を経て、やや薄れてきた。今回も男鹿半島の海と空はあの夏のような輝きを放ちながらぼくをむかえてくれるだろうか。
 カプセルホテルで目覚めたのは6時半頃だった。いつものようにまず朝風呂に入った。露天風呂は無いが、朝風呂は気分がよい。ぼくは旅に出るとホテルのユニットバスであろうが、露天風呂であろうが必ず朝風呂に入る。気持ちがしゃきっとして、目が覚めるということもあるが、朝、湯にゆったりと入るということは、慌しい日常を忘れさせてくれる。それで心が癒されるのである。
 健康ランドを出発したのは午前7時半頃だった。天気は良い。空は青く、まぶしい朝日があった。ぼくは男鹿市を目指してビートを走らせた。朝の秋田市内は空いていた。
 海岸沿いの道を男鹿半島目差し走っていると潮風が心地よかった。ぼくは運転しながら青い空を見上げてみた。空には無数の海鳥が飛んでいた。海鳥がぼくを呼んでいるかのように鳴きながら、ビートの後をついてくる。オープンカーで走っていると、自然を身近に感じることができる。とても素敵な瞬間だ。
 まず、男鹿駅に行ってみた。駅前は相変わらず寂れている。それがとても懐かしい。ぼくは駅に車を止めてしばらくぼうっとしながら、懐かしい雰囲気を楽しんだ。
 暑かったあの夏。まぶしかったあの夏。楽しかったあの夏。思い出はぼくの脳裏に浮んで、そして霞むように消えていった。

  


- JR男鹿駅-
人は少ない
 

- 早春の男鹿半島-
空気が美味しい



 - 入道崎 -
青い空と青い海


 - 入道崎 -
北緯40度のモニュメント

 

−入道崎−


 男鹿駅を出て、男鹿半島を一周することにした。海外沿いのワインディングを潮風を浴びながら走る。空と海はどこまでも青い。山肌は冬枯れの木々で覆われているが雪はない。透き通るような朝の空気が、日常を忘れさせてくれる。穏やかな春の日差しは、まるで幻想の中を走っているかのように錯覚させる。
 およそ1時間くらい走って入道崎に到着した。入道崎は男鹿半島の最北端にあり、北緯40度上に位置する。青い空と蒼い海が溶け合う、ダイナミックな景観がそこにあった。
 ぼくは入道崎のドライブインに車を止めて、岬の芝生の上に寝転がって、空と海をしばらく見ていた。岬の遥か彼方の方から、海の音が聞こえた。それは波の音ではない。人間には表現することができない不思議な音だ。ぼくはその音に孤独を感じた。それは何億年、何十億年と続いている、はかりしれないほど深い、孤独な海のため息のような気がした。
 入道崎から大学時代の友人達に写メールを送った。あの夏一緒に男鹿半島に行った友人達だ。友人Kはなまはげの電話ボックスがあるという。入道崎のドライブインを探してみたが、そのようなものは見つからなかった。後からなまはげの電話ボックスは男鹿水族館だったというメールをもらった。そうだ、あの夏は男鹿水族館にも行ったんだ。ぼくは男鹿水族館にも行こうかと思ったが、地図を見ると既に通り過ぎてしまっていたため、あきらめることにした。



-乳頭温泉 -
雪がすごい


-大釜温泉 -
宿泊しました


-孫六温泉 -
秘湯の雰囲気


-孫六温泉 -
乳白色の露天風呂


-蟹場温泉 -
いい湯でした

−乳頭温泉−


 乳頭温泉は田沢湖の奥深く乳頭山麓にある。いよいよ今回の旅の目的地を目指すことにした。時刻はちょうど正午を過ぎた頃だった。ぼくはカーナビで乳頭温泉までの道を検索した。到着予想時刻は16時だった。
 男鹿半島を一周し、八郎潟を通り、能代市にさしかかった。そこから国道105号を使って田沢湖を目指す。道が山の中に入っていくにつれて、あたりは雪景色となった。田沢湖周辺に辿り着く頃には、道路わきの雪は2メートルくらいの壁となった。道路は除雪されており、ノーマルタイヤでの通行は問題ないが、この先の乳頭温泉郷まで除雪されているのか、ちょっと心配になる。
 国道を離れて乳頭温泉へ向かう道はさらに雪がすごかった。しかし、かろうじて道は除雪されている。目指す乳頭温泉、鶴の湯へ向かう道は途中から舗装されていないダートになった。ビートのサスペンションがぎしぎしと音を立てる。めったに音飛びしないCDプレイヤーからの音楽が乱れた。胃下垂になりそうな道の先には乳頭温泉で最も古い、鶴の湯温泉があった。
 さっそく温泉に入ろうと車を出ると、なんと外来入浴は15時までで終了ということだった。鶴の湯温泉に着いたのは15時ちょっと過ぎ。すでに今日の外来入浴は終わっていた。「なんとかなりませんか」と受け付けの人に頼んでみたが、宿泊する人を優先させるため、外来はお断りしているということだった。今回の旅は温泉についていない。しかしここまで来てあきらめるわけにはいかない。それでは宿泊はできるのかと聞いてみたが、既に満室とのこと。しかしまだあきらめない。ぼくは乳頭温泉の他の旅館に宿泊し、温泉めぐりをしようと思った。鶴の湯には明日の朝来よう、
 鶴の湯からさらに奥へ行ったところに大釜温泉があった。ぼくは大釜温泉で宿泊し、他の乳頭温泉めぐりをすることにした。ちなみに大釜温泉は1泊2食付で9000円だった。
 女中さんに部屋に案内してもらう。部屋は六畳ほどで、テレビとちゃぶ台がある何の変哲も無い部屋だった。ぼくは部屋に荷物を置くと、まずは大釜温泉の風呂に向かった。 大釜温泉には男女別の内湯と露天風呂があった。お湯は乳白色。露天風呂はそれほど広くはないが、雪景色が見えた。内湯はやや熱めだった。露天風呂はちょうどよい温度で長く浸かっていられる。ぼくは雪景色を身ながら乳白色の温泉を堪能した。疲れが体中からしみだしていくような不思議な感覚だった。
 大釜温泉の夕食は18時からということだった。ぼくが大釜温泉にチェックインしたのは16時くらいで、まだ夕食まで時間がある。ぼくは歩いて乳頭温泉めぐりをしようと思った。旅館のフロントでそのことを告げると、温泉手帳というものがあって、1000円で乳頭温泉の6つの宿の温泉に入ることができるという。ぼくは温泉手帳を購入し、タオルとデジカメを持って乳頭温泉の散策に出た。
 周囲の山々には雪が積もっている。昼間はあれほど青かった空もうす曇になってきた。しかし気温はそれほど低くない。温泉でぽかぽかに温まった体にはやや冷たい風も心地よい。
 ぼくはまず孫六温泉を目指した。孫六温泉は大通りからやや外れたところにあった。わき道に入ると、道路に雪が残っていてノーマルタイヤでは走行は難しいだろうと思われた。さらに進むと道は狭くなり車での乗り入れができなくなっていた。
 静かだ。雪の積もった山はしんと静まり返っていた。ぼくの靴が雪を踏む音がきゅきゅと響く。あとは鳥の鳴き声くらいしか聞こえない。なかなか孫六温泉は見えない。ぼくは20分ほど自然道を歩いた。道を間違えたのだろうか。引き返そうかと思ったとき、ようやく、孫六温泉の建物が見えた。まさに秘湯と呼ぶのにふさわしい雰囲気を醸しだしている。
 孫六温泉には男女別の内湯と混浴露天風呂が3つもあった。乳頭温泉の中でも湯治場として風情を最も残している温泉であるらしい。温泉には先客が3人いた。外国人の男性と年配の女性、そしてぼくと同じくらいの年の男性だった。
 露天風呂からは雪が積もった山肌を見ることができる。ぼくは温泉の横を流れる河のせせらぎを聞きながら、ゆっくりと露天風呂につかった。体が自然と一体化して、とろけてしまうような開放感があった。ああ、来てよかった。ぼくのイメージの中にあった乳頭温泉がそのままここにあった。ぼくは何度も何度もため息をついた。
 孫六温泉を後にしてもう一軒温泉に立ち寄ることにした。てくてくと自然道を戻り、大釜温泉の近くにある蟹場温泉に向かった。
 蟹場温泉は付近の沢に蟹が多く住むことから「蟹場温泉」と名付けられたらしい。最近改装されたらしく、建物は新しい感じがする。ここには男女別の内湯と混浴の露天風呂がある。ぼくは新館とは離れている原生林に囲まれた露天風呂に行くことにした。フロントのおにいさんは、「今撮影してますが、もう少しで終わると思います」と言った。
 撮影?何の撮影だ?と思ったが気にせずに離れにある露天風呂に向かった。露天風呂への道は完全に雪が積もっていて、ぼくはずるずるとすべりながら風呂を目指す。
 露天風呂では、フロントのおにいさんが言うとおり撮影をしていた。モデルと思われる女性が温泉をPRしているみたいだった。おそらく乳頭温泉のPR用の撮影だろう。女性モデルはタレントなのだろうか。見たことない人だった。
 ぼくは撮影の人達がいなくなるのを少し待って、露天風呂に入った。女性タレントは「お待ちどうさま。ゆっくり入ってね」と言ってぼくに手を振っていた。
 お湯はちょうど良い温度である。ここの湯はそれほど乳白色に濁ってはいなかった。露天風呂の広さは孫六温泉より広い。そしてまわりは雪景色の原生林でしんと静まっている。ぼくは森の音を聞きながらゆったりと湯に浸かった。体が温まると外に出て石の上に腰掛けて体の熱りを冷ました。何度かそれを繰り返した。
 しばらくすると中年の夫婦らしき客が来た。だんなさんの方はすぐに風呂に入ったが、奥さんの方はぼくがいるため遠慮している。ぼくは体も温まったし、そろそろ上がることにした。帰り際、奥さんの方から「無理して早く上がってくれたのと違う?」と声をかけられた。ぼくは「そんなことないですよ」と言った。やはり他人がいると恥ずかしいのだろう。
 ぼくは宿泊先である大釜温泉に戻った。そろそろ夕食の時間だ。宿泊客が大広間に集まっていた。料理は焼き魚と山菜の天ぷらだったと思う。ぼくはビールを注文した。客はぼくのほかには中年のカップルが二組とサラリーマン風の男性。そして外国人女性がひとり。外国人女性はなかなかチャーミングだった。ぼくは話し掛けようかと思ったが席も離れていて、そのチャンスはなかった。ぼくは心の中でその女性をジェシーと呼ぶことにした。ジェシーはなかなか箸の使い方も上手だ。
 ビールをもう一本頼もうかと思ったが、最後に出てきた山菜汁のようなものがとても美味しく、ご飯が食べたくなった。ぼくは久しぶりに夕食で白いご飯を腹いっぱい食べた。秋田のご飯はとても美味しく感じた。
 そうあの夏もそうだった。ぼく達は秋田に旅行したとき、友人Kの親戚の家に泊めてもらった。そこで出された夕食のご飯がとても美味しかったのだ。あんなに美味しいお米を食べたのは後にも先にもない。秋田小町だろうか。とにかく美味しかった。
 夕食後、しばらく部屋でテレビを見ていた。「今乳頭温泉にいるよ」と友人達に連絡したかったが、携帯電話もPHSも圏外でどうにもならない。テレビを消すと静寂があった。乳頭温泉の静かな夜がふけていく。ぼくはまもなく眠りについた。


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