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20021229
多岬と桜島(2002/12/29)


志布志〜佐多岬〜桜島〜鹿児島


 目覚めるとあたりは鈍い光で照られれていた。
 遠くで低く断続的なごうごうという音が聞こえた。
 重力とは別な力がぼくの体に作用している。そう、ぼくは船に乗っていたんだ。あたりを見回すと20畳くらいの2等船室で20名以上の人が寝ているようだ。
 枕もとの携帯電話で時刻を確認すると、まだ早朝の5時30分だった。
 それにしても本当に狭い。右隣の人を見ると毛布をかぶって寝ていた。足はぼくの足の上にあった。左隣のひとの腕はそのまた左隣の人の胸の上にあった。


 ぼくはやさしく隣の人のあしをどけて起き上がった。ロビーにでると寝ていない人がちらほらいた。ガイドブックを広げて旅の予定を確認するグループ。窓から真っ暗な海を見つめているカップル。無表情でタバコをすう年配の人。
 ぼくはとりあえずトイレにいって、自販機でコーヒーを買いタバコを吸う。まだはっきりと意識が目覚めていない。ぼうっとしながらしばらくタバコとコーヒーで脳が目覚めるのをまった。船の窓から見える暗い海の彼方に微かに光が見えていた。
 九州上陸まで3時間余り。ぼくは旅の行程を再確認しようと思った。ガイドブックを取りに2等船室に戻る。ぼくの寝場所は両隣の人に占領されていた。しかしもう眠るつもりはないので気にしないで、バッグから九州のガイドブックを取り出し、喫煙所に戻り、もう一本缶コーヒーを買い、タバコに火をつけた。
 九州上陸1日目の行動はおおよそ考えてある。まず目指すのは日本本土最南端佐多岬である。その後、桜島を見て鹿児島市に行こうと、だいたいの予定を立てた。今日は鹿児島市近辺の健康ランドに宿泊することになるだろう。 
 午前6時を過ぎると乗客も起きだし船内がざわざわしだした。朝日が昇るまでまだ1時間ほどあるが、外は明るくなってきた。進行方向の右側に陸地が見える。どの辺りかはよくわからないが、九州が近いことは確かだ。
 甲板にでてみる。南国の暖かい風が吹いていることを期待したが、風は昨日にもまして身を切るように冷たい。しばらく過ぎていく海の泡と遠くに見える緑の陸地を眺めていた。鹿児島といっても冬はやはり寒いのか。ぼくはとめどなく作り出されるフェリーの泡を見ながら、ぼんやりとしていた。甲板にいる人は少なかった。とても寒くて長くいられない。ぼくはありったけの厚着をして、しばらく甲板で過ごした。


- フェリーからみる朝日 -
空はやや曇りか



- さんふらわあ -
いよいよ到着

 
- さんふらわあ -
朝日がまぶしい

 やがて東の空から朝日が昇ってきた。時間は午前7時30分くらいだろうか。水平線のあたりの雲で朝日はくっきりとその円形を見せていない。しかし鉛色だった空と海が次第に薄い青色に変わっていった。海から朝日が昇るのを見るのは去年佐渡島へ行ったとき以来だ。水平線あたりに雲はあったが天気は良さそうだ。今日は良いドライブができるかもしれない。
 ぼくはそう自分に言い聞かせて2等船室に戻り、荷物を整理した。
 到着まであと1時間程度。ぼくは6階のレストランで朝食バイキングを食べることにした。昨日の夕食バイキングはすごい混雑で食べることができなかったが、朝食は空いていた。窓際の陸地が良く見える席に座り、腹いっぱいバイキング料理を食べた。味はよく覚えていない。よくあるホテルの朝食バイキングとそれほどか変わらなかったと思う。
 到着の時間が迫ってきた。甲板にでてみると、鹿児島県志布志港が見えた。大阪南港に比べると殺風景な感じがしたが、それが何故かぼくにとってはうれしい。午前8時40分、ほぼ定刻にさんふらわあ・さつまは志布志港に到着した。
 フェリーから降りて、もういちどさんふらわあを見てみる。2等船室は窮屈だったけど、それもまた経験。次にフェリーに乗るときはせめて2等寝台を予約しよう。ぼくは朝日に照られれたさんふらわあを見ながらそう思った。



 - 根占温泉 -
アットホームな雰囲気


- 佐多岬駐車場 -
亜熱帯植物


-佐多岬 -
海は広く蒼い

 フェリー乗り場でカーナビを操作して、まず最初の行き先佐多岬まで検索する。佐多岬は大隈半島の先っぽにある。ぼくは大隈半島を一周するイメージで考えていたが、カーナビの検索したルートは異なっていた。それに気づいたのは走り出して1時間程して、鹿屋市に着いた頃だった。まあそちらのルートの方が早いのだろうが、桜島に行くのに同じ道を戻ることになってしまう。それも今となってはしかたがないか。鹿屋市から国道269号に入り、ひたすら南を目指す。
 すでにフェリー乗り場で幌をあけてオープンにしてある。空は晴れていて気持ちが良い。フェリーでは冷たかった風も南に行くにつれて暖かく感じられるようになってきた。道路わきの木々はこれまでドライブしてきた道と違うどこか南国めいた雰囲気がある。右側に見える海は薄い水色でとても穏やかだ。風は完全に暖かくなっている。
 2時間ほどドライブした後、休憩することにした。佐多岬に向かう佐多街道(269号線)の根占温泉があった。温泉でフェリー旅の疲れを癒す。人は少ない。休憩所で冬休みの宿題をやっている親子がいた。ここは地元の人にとって公民館みたいなものなのだろう。しばらく新聞を読んだりして休憩し、再び南へビートを走らせた。澄み渡った空と暖かい風。ぼくは南国に来たんだと実感した。
 しばらく走るときれいなビーチがあった。駐車場に車を止めてビーチから青い海を見てみた。おおきく深呼吸すると日常の苦痛が海の波とともに消え去っていくように思えた。砂はびっくりするほど細かく、さらさらと乾いていた。良いところだ。しばらく砂浜で寝そべっていようとも考えたが、最後にもう一度海を見ながら深呼吸してビートに乗り込んだ。
 佐多岬ロードパークウェイは有料道路だった。この道を通らなければ日本本土最南端に到達できない。ぼくは1000円を支払って佐多岬ロードパークウェイに乗り入れた。道路わきの植物はますます見たこともない種類に変わっている。どこか異国の道を走っているようだ。くねくねした道を30分ほど走りようやく佐多岬に到着した。観光客はほとんどいない。
 駐車場に車を止めて本土最南端を目指す。展望台まで歩いて30分くらいだ。料金100円を支払い、何故か暗いトンネルを抜け、岬までの道を歩く。途中かなり急勾配なところもあり、日ごろの運動不足のため息が切れた。亜熱帯植物が茂る道をひたすら歩いて展望台に到着した。
ようやく本土最南端に到着である。いきなりイカの焼ける匂いがした。売店のおばちゃんがイカを焼いていたのだ。客が2,3人いた。今日はフェリーで朝食バイキングをたらふく食べていたため食欲はなかった。階段をのぼり展望台へ。展望台からは佐多岬が一望できた。近くに灯台も見えた。海は深い青でまさに紺碧の海。空も良く晴れていて見ていると気持ちが落ち着いてくる。きてよかった。2,3度ため息をついて、駐車場に戻り、桜島を目指すことにした。


 佐多街道を今度は北に向かう。鹿屋市から220号線に入り、垂水を通り、桜島へ到着したのは15時くらいだろうか。とりあえず時計回りに回ることにする。佐多岬へ向かう途中に見た道路わきの亜熱帯植物はもう見ることがない。
 桜島の道路わきはごつごつとした溶岩がその大部分しめていた。そして溶岩のかなたに桜島が見えた。頂上の雲は噴煙なのだろうか。道路わきに車を止めて桜島を見てみる。「もたもた走ってると爆発しちゃうよ」という猛々しさを感じて何か背筋が寒くなった。有史以来爆発を繰り返してきた活火山には得たいのしれない迫力があった。
 桜島を半周した。この後鹿児島市を目指すのだが、時刻も16時を過ぎ、空も曇ってきたため、桜島を一周して鹿児島へ行くよりも、桜島と鹿児島を結ぶ「桜島フェリー」に乗ることにした。料金は1000円程度だった気がする。これだとおよそ15分くらいで鹿児島に到着することができる。本日2度目のフェリーだ。フェリーにめったに乗らないためやや緊張した。ぼくの緊張をよそに何事もなかったようにフェリーは鹿児島港に到着した。
 あっという間だった。桜島フェリーは24時間営業。30分おきくらいに出航しているのだろう。いや間隔はもっと短いかもしれない。


- 桜島 -
頂上付近の雲は噴煙なのか

- 桜島フェリー -
出航
 


 


 とりあえず今日の目的地の鹿児島についた。宿泊先を決めよう。ノートPCを取り出して、鹿児島付近の健康ランドを検索する。しかしヒットしない。鹿児島には仮眠可能な健康ランドがないのか。まあフェリーで熟睡できなくて今日は疲れている。そんなこともあり、西鹿児島駅前のビジネスホテルを予約して、18時ごろチェックインした。
 さて風呂へ入ってビールでも飲んで早めに寝ようと思い、ホテルのレストランへ向かうと、日曜日のためレストランは休みだった。居酒屋でも探そうと外へ出てみるが、西鹿児島駅近辺に適当な居酒屋は見つからなかった。どうせなら鹿児島一の繁華街の天文館まで行ってみることにした。路面電車で行こうかとも考えたが結局とぼとぼと歩いた。風が強く冷たい。風呂上りの熱った体が一瞬のうちに冷えてくる。15分ほど歩いたところで賑やかな繁華街が見えた。
 道を行き交う人が多く、キャバクラやピンサロの呼び込みのおにーさんやおねーさんも結構いる。適当なラーメン屋を見つけビールと餃子。そして鹿児島ラーメンを食べた。この店の鹿児島ラーメンは以外とあっさりしていて、濃厚な味が好きなぼくにはやや物足りなかった。少し酔っ払ってよい気分になり、繁華街を散歩した。ストリートミュージシャンがさだまさしの歌を熱唱していた。ぼくはしばらく立ち止まり聞き入った。何故か涙がでた。
 知らない街で知らない人にまぎれてたった一人。
 そんな自分が悲しいのか。涙の意味は良くわからないが、ぼくは泣きながらホテルに戻り、コンビニで買った芋焼酎を飲みながら、また泣いた。


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