摺岬(2001/5/2)

 朝8時ごろ起床。窓の外から雨音が聞こえた。かなり激しい。カーテンを開けて外を見ると、大粒の雨が窓ガラスをたたく。最悪の天候である。今日のメインは足摺岬である。晴れた足摺岬から太平洋を一望する予定だった。日ごろの行いが悪いのだろうか。
 ホテル秋沢ではシングルルームを予約したはずだったが、なぜかツインルームだった。ひとりで泊まるとやけに寂しい。おまけに部屋についているバスルームに問題がある。昨夜、湯船にお湯を溜めようとして蛇口をひねると、ごぼごぼという不快な音とともに蛇口が振動し、茶色の水がでてきた。しばらくするとお湯になったが温度は低い。小学生のころ、理科の時間でやった「鉄の酸化実験」のような赤茶けた色のぬるま湯が湯船にたまった。フロントに文句を言おうと思ったが、共同浴場があるのでそちらに入った。広い湯船にひとりで浸かって満足したからまあ部屋の風呂はどうでも良いやと思って寝てしまった。
 9時ごろホテルを出発。ばちばちと大粒の雨がフロントガラスをたたく。大雨。それもちょっと危険じゃないかって思うほどの豪雨。去年、名古屋地区が集中豪雨にあった。僕はそのとき旅の帰りでたまたま名古屋にいて、ひどい目にあったことがある。道路が冠水して、ビートが浸水して、都市の交通機能が麻痺して、名古屋-刈谷のわずか20Kmほどの道のりに24時間以上かかった。その時の雨を思い出させるくらいの大雨である。
 宿毛からは国道321号、通称足摺サニーロードを行く。晴れていればすばらしい景色が望めるのだろうが、真っ黒な空からは大量の雨が降り注いでいる。交通量も少ない。サニーロードのところどころ巨大な水溜りができている。ビートが浸水しないかとひやひやしながら、とにかく慎重な運転で足摺岬を目指した。
 足摺岬に近づくにつれて霧がでてきた。足摺スカイラインを登るころには、5,6メートル先を見るのも困難になった。さらに速度を落として慎重に運転する。「足摺岬は霧で、景色は見えないか」と半分あきらめ、足摺スカイラインを下りきったところ、うそのように霧が晴れた。どこか幻想的な空模様になった。ようやく足摺岬に到着した。午前11時をちょっと過ぎていた。

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- 足摺サニーロードで -
空が暗い!
 
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- 叶崎 -
海が荒れている
 

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- 足摺岬 -
空が暗い
 

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- 白山洞門 -
穴の先には荒れた海が
 
 霧は晴れたが空は晴れない。まだ時々たたきつけるように雨が降っている。がらんとした岬の駐車場に車を止めた。観光客の姿も少ない。傘とカメラを持って岬に向かった。まず展望台に行ってみる。風がかなり強い。展望台から海を、荒れ狂う海を見た。すごい。地球が怒っている。そこには誰にも遠慮することなく、ありのままの自然があった。しまなみ海道に掛かる橋を見て人間の英知はすばらしいと書いたが、自然の力は人間の英知を超えている。どうしようもない。この脅威をなんと表現したらよいのだろう。 ただ圧倒されるだけである。油断すると岬に吸い込まれそうだ。この海を見るまで天候が最悪だと思っていた。が、こんな荒れている足摺岬を見ることができ、僕はラッキーだった。
 展望台を後にして、岬周辺の小道を散歩した。雨はやや小降りになっていた。木々に囲まれた薄暗い道を歩く。雨にぬれた木々の匂いがなぜかとても懐かしい。道は途中で何回か分岐している。まず灯台に向かう。白い灯台が大自然の中にひっそりとその姿を見せた。記念撮影をお願いしようにも人がいない。しかたなく灯台だけ撮影。その後、白山洞穴に向かう。道はかなり険しくなっていく。見えた。岬が長い間に浸食され、ぽっかりと穴があいている。洞穴から荒れた海を見ることができる。これも自然の脅威だ。
 およそ1時間ほど歩き回って、ちょっと疲れた。歩き回っている時は雨がやんでいた。それで、傘をどこかに置き忘れた。しかし、白山洞穴を過ぎたころからまた激しく振ってきたため、びしょぬれだ。とにかく今回の旅の目的のひとつである足摺岬を後にする。さあ次は四国カルストだ。

 四国カルストとは、四国の中ほどにある、カルスト高原である。足摺岬からしばらく海岸線を走り、中村市にたどり着いた。あれほど激しく降っていた雨は上がって、時々晴れ間が見える。四万十川の穏やかな流れを感じながらから国道439号線に入る。このときは海岸線を走るだけでは物足りなくて、なんとなく山道である439号に入ったのだが、やがて道はどんどん狭く険しくなり、すれ違うことも困難なほどになった。そしてガードレールもなくなった。すごい道だった。これが国道か?ところどころ、木が倒れていたり、落下した岩が道半分をふさいでいたりして、運転に気が抜けない。2時間くらい走ったが、先を行く車も、後から追いついてくる車も、対向車もみない。よく奥三河の険しい県道を走ることがあるが、この439号はそれらの峠道とくらべても秘境レベルはかなり高い
 尾道で買った「中国・四国 露天風呂立ち寄りマップ」によると、国道439号と国道197号が交差するあたりに「雲の上の温泉」がある。険しい峠越えで若干疲れたので温泉で一休みすることにした。雲の上の温泉は439号の険しい道を抜けて、やや広い197号に入ったところにあった。駐車場はかなり広い。付帯施設としてホテルとプールがあったためだ。山々の緑に包まれた露天風呂に入り、峠ドライブの疲れを癒す。ほっとする瞬間。ビートの狭い運転席で固まった体がほぐれていくのを感じる。いつのまにか、あっふう、んー、などと、うなっている。
 温泉で疲れを癒していると、いつのまにか午後5時を過ぎていた。四国カルストに行くためには、439号よりさらに険しい440号を2時間以上走らなければならないと思われる。どうしよう。今日の宿泊は高知市のビジネスホテルである。行くべきかやめるべきかしばらく迷ったが、思ったより肉体疲労が激しかったためやめることにした。
 雲の上の温泉でくつろいだ後、197号で須崎市に向かう。197号は439号に比べると広くてとても走りやすかった。交通量もそれほど多くない。須崎を過ぎ、高知市に入るころ、道はやや渋滞。日が沈もうとする高知市のかなたに、七色の虹が見えた。これほどはっきりと虹を見るのは何年ぶりだろうか。日々の忙しい日常で虹という言葉さえ忘れかけていた。カーラジオから地元の放送局のキャスタが、高知市あたりで虹が見えるということを伝える。渋滞で停止した車から、時々人が顔を出して西の空に見える虹を指差す。そんな景色がなぜか悲しく、涙が出そうになった。
 今日の宿泊はホテルサン高知。午後7時ごろ到着。
 
 
- 国道439号線 -
これが国道?!
 

- 国道439号線 -
秘境
 

 ホテルはJR高知駅から10分程度のほぼ市内中心地にあった。今日はかなり疲れていたが、ホテルから出て市内を1時間ほど歩き回った。高知市街には路面電車が走っていた。人通りも結構多い。飲食店も多く見かける。四国で一番栄えているのか?適当なお店で食事をしようかと思ったが、結局見つからず、ホテルの一階の居酒屋で食事。まず生ビール。そして高知なので一応かつをのたたき、あとは餃子、鳥の空揚げ。居酒屋は結構混んでいて、店員はいそがしそうだった。かつをのたたきはこれまで食べた中ではもっとも美味しいと思った。生ビール中ジョッキ2杯ですっかり酔ってしまい、早々と就寝。


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